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ダイヤモンドについて

2020.09.07

ラボ グロウン ダイヤモンドとは?天然のダイヤモンドとの違いについても紹介

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ラボ グロウン ダイヤモンドとは、研究所(ラボ)で育てられたダイヤモンドのことで、天然ダイヤモンドと同じ成分や特徴を持つため、新しい選択肢として注目されています。この記事では、近年話題を集めているラボ グロウン ダイヤモンドの生成方法や価格、注目されている理由を解説します。

ラボ グロウン ダイヤモンドとは

ラボで生成されたダイヤモンド
その名の通り、研究所(ラボ)で育つ(グロウン)ダイヤモンドのことで、合成ダイヤモンドや人工ダイヤモンドとも呼ばれています。ここでは、ラボ グロウン ダイヤモンドと天然ダイヤモンドとの違いや、それぞれの特徴を解説します。

地上で生み出されるダイヤモンド

天然ダイヤモンドとラボ グロウンダイヤモンドの最大の違いは「生みだされる環境」です。天然ダイヤモンドは、長い長い年月をかけて地中で育まれたもの。それに対してラボ グロウン ダイヤモンドは研究所で製造され、必要とされる期間は数週間です。

ラボ グロウンダイヤモンドの科学的、物理的な特性は、天然ダイヤモンドと変わりません。GIA、IGIといった国際的な鑑別機関により鑑定書(グレーディングレポート)も発行されますが、「人工」または「ラボで生成された」ということが明記されます。
また、グレーディングレポートの外観や記載される内容が、天然ダイヤモンドのものとは異なると知っておきましょう。

高い純度と美しさを持つ

ラボ グロウン ダイヤモンドは天然ダイヤモンドと同じ光学的特性を持っています。そのため、肉眼で天然ダイヤモンドと見分けるのはほぼ不可能です。
ただし、厳密には両者が全く同じというわけではありません。

天然ダイヤモンドは不純物のない炭素であるとされていますが、実際のところ、窒素や、色に影響を与えるホウ素といった他の物質も含んでいます。また、長い年月をかけて生成する過程で、ごく小さな異物を含むことも少なくありません。だからこそ天然ダイヤモンドには、その個体にしかない、唯一無二の輝きがあるともいえるでしょう。

一方、完全にコントロールされた環境で作られるラボ グロウン ダイヤモンドは、配合する成分を自在に調整できます。そのため、不純物を全く含まないクリアな結晶を安定的に作ることも可能なのです。

人造石や模造石とは異なる

人工的に作られた石には合成石、人造石、模造石があります。

合成石とは化学組成、結晶構造が天然石と同じ宝石のことで、ラボ グロウン ダイヤモンドも合成石の一つです。その他の合成石として、合成ルビーや合成エメラルドなどがあります。

人造石は、化学組織や結晶構造は天然石と違うものの、外見を似せて作られた石です。代表的なものにキュービックジルコニアがあります。

模造石はガラスやセラミック、プラスチックなどを用いて作られる、宝石に似た見た目のものです。プラスチックパールやラインストーン、コットンパールなどが挙げられます。

ラボ グロウン ダイヤモンドの生成方法

美しくカットされたダイヤモンド
HPHT(高温高圧法)、CVD(化学蒸着法)の2つの方法によってラボ グロウン ダイヤモンドは生みだされます。ここでは、それぞれの方法と特徴を見ていきましょう。

HPHT(高温高圧法)

古くから研究され、現在ラボ グロウン ダイヤモンドの生成方法として広く普及しているのがHPHT(高温高圧法)です。

天然ダイヤモンドは地球の深部にあるマントルで生成されます。HPHTでは、マントルと同じような高温高圧の環境を人工的に再現して、合成ダイヤモンドの結晶を作るのです。
HPHTは、かつてはメレダイヤを作るのに使われていた技術ですが、技術の改良とともに大粒のものも生成されるようになっています。    

CVD(化学蒸着法)

CVD(化学蒸着法)とは、高温低圧の環境で、メタンガスなどの炭素を豊富に含む気体を利用して合成ダイヤモンドを作る方法です。薄くスライスしたダイヤモンドを種結晶とし、炭素原子を付着させて合成ダイヤモンドの結晶を生成していきます。

CVDでは不純物の残留を管理することにより、生成する合成ダイヤモンドのサイズや純度、色をコントロールできるのが特徴です。そのため大粒でクリアなものや、ピンク、イエロー、ブルーなどの美しい色を持つ合成ダイヤモンドが生成できます。

ラボ グロウン ダイヤモンドが注目される理由

キンバーライトに囲まれた天然ダイヤモンド
永遠の愛の象徴とされるダイヤモンドは、長い年月をかけて自然が育んだ希少な鉱物。その希少性もダイヤモンドの価値の一つですが、クリアで美しいダイヤモンドを手に入れるのは簡単なことではありません。
ラボ グロウン ダイヤモンドは、美しいダイヤモンドを手にするための選択肢として注目されているのです。

エシカルである

1990年代後半、ダイヤモンドの不正取引が紛争の資金源になっていることが明らかになりました。当時、アフリカのいくつかの反政府組織は、ダイヤモンドの不正取引で得た外貨を武器の購入などに充てており、それが紛争を長引かせる原因になっていたのです。

天然ダイヤモンドを巡る問題に対し、各国の政府やダイヤモンド業界、NGOは、ダイヤモンドの原産地を認証する制度を策定するよう動きました。その結果、不正取引されたダイヤモンド原石の輸出入を規制する国際的な証明制度、「キンバリー・プロセス証明制度」が採択されたのです。
現在では、取引されている天然ダイヤモンドの99.8%以上が、紛争とは関係しない地域で採掘されたものだと保証されています。

ラボ グロウン ダイヤモンドは人の手で作られているため、紛争問題に関わっていないことが明白です。そのため、エシカルな選択肢としてラボ グロウン ダイヤモンドを選ぶ人もいます。

環境負荷が少ない

天然ダイヤモンドは、約30億年前に地球深部のマントルで結晶化したといわれています。その後、火山活動によって地表に押し出されたマグマは、ダイヤモンドを含んだ岩石「キンバーライト」となりました。地中に残ったパイプ状のキンバーライトは、ダイヤモンドの採掘される場所であるキンバーライトパイプ鉱床となったのです。
キンバーライトパイプ鉱床での採掘は、露天掘りや地下採鉱といったさまざまな方法で行われますが、採掘が自然に与える影響を懸念する人もいます。

一方、ラボで生成される合成ダイヤモンドは採掘を必要としないため、サステイナブル(環境負荷が少ない)という点でも評価されているのです。

ラボ グロウン ダイヤモンドの価格

鑑定されるダイヤモンド
天然ダイヤモンドに比べて、リーズナブルに手に入るのもラボ グロウン ダイヤモンドの魅力です。ここでは、ラボ グロウン ダイヤモンドの価格相場について解説します。

ダイヤモンドの相場価格の1/2

天然ダイヤモンドは希少であるがゆえ、高い値段で取引されます。しかし、人の手によって作られるラボ グロウン ダイヤモンドは安定供給が可能です。そのため、多くの場合天然ダイヤモンドの相場価格の2分の1程度で取引されています。

希少価値の高いカラーダイヤモンドも低価格に

天然のカラーダイヤモンドは採掘量が非常に少なく、無色のダイヤモンドに比べてもずっと高価です。美しい個体は一般には流通せず、小さなものでも数億円するといわれています。
一方、ラボ グロウン ダイヤモンドは配合する成分を完全に調整できるため、さまざまな色のダイヤモンドを生成することが可能です。手の届かない存在だったカラーダイヤモンドが身近になったと言えるでしょう。

ダイヤモンド一つ一つにストーリーが

ジュエリーショップで売られるダイヤモンドリング
人の手で作られるラボ グロウン ダイヤモンドは、安定した品質のものを低価格で購入できる上、エシカルであるとして注目されています。
一方、長い年月をかけて自然に育まれた天然ダイヤモンドに一つとして同じものはありません。まさに“自然からの贈り物“とも言える天然ダイヤモンドに、歴史とロマンを感じる人は少なくないでしょう。

ダイヤモンド選びの基準は人それぞれ。永く身に着けるものだからこそ、そんなストーリーに愛着を感じて納得のいく選び方をしたいですね。

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