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コラム

2022.08.24

結婚できる年齢は男女ともに18歳へ。変わった理由や背景を解説。

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民法の改正にともなって、2022年4月1日から女性の婚姻可能年齢が16歳から18歳へ引き上げられました。本記事では、結婚できる年齢が引き上げられた理由を分かりやすく解説。さらに現在の結婚の平均年齢や、若くして結婚をする時のメリットとデメリット、若くして結婚したいなら考えておくべきことなどを紹介します。

女性の結婚可能な年齢が引き上げられた理由

木槌と家族の模型
婚姻に関する年齢を定めた民法731条が改正されたことにより、2022年4月1日から、女性の婚姻可能年齢は18歳となりました。これまで女性は16歳以上になれば結婚が可能だったため、年齢が引き上げられたことになります。ここでは、なぜ女性の結婚可能年齢が引き上げられたのか理由を紹介します。

男女の婚姻開始年齢の差異を解消するため

女性の婚姻可能年齢を18歳に引き上げるのは、男女間の差異を解消することが目的です。改正前は民法で、「男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない」と定められていました。つまり、男女間に2歳の差異があったのです。
これはもともと、男女間で心身の発達に差異があると考えられていたのが理由でした。現在では結婚の可否について、心身の発達と併せて社会的または経済的な成熟度を重視すべきという風潮があります。社会的・経済的な成熟度の観点からは、男女間に違いはありません。そのため、婚姻可能年齢に男女間の差異を設ける必要はないとされたのです。国連から男女間の差異を解消するよう求められていたことも、背景にあります。

婚姻には18歳程度の社会的・経済的成熟が必要であるから

男女が夫婦として生活していくには、社会での経験や家庭を支える経済力が成熟していることが必要です。この社会的・経済的成熟度に、男女差はありません。現在の日本では、高校等進学率は98%を超えており、ほとんどの人は高校を卒業してから社会に出ていきます。そして婚姻には、高校卒業程度の社会的・経済的成熟が必要であると考えられます。そのため、男女ともに婚姻開始年齢を18歳にしたのです。

法律で定められている結婚可能な年齢について

10代のカップル
結婚できる年齢が法律で定められているのには、理由があります。ここでは結婚できる年齢が決まっている理由や、民法改正により結婚に親の同意が不要になったことについて紹介します。

結婚可能年齢が法律で決まっている理由

結婚可能な年齢が法律で定められているのは、結婚には社会的な責任が生じるからです。結婚は、親から独立して夫婦で1つの家庭を築くことです。そのため自立して生活する経済力や責任が求められます。また、子どもが生まれた場合は子どもに対する責任も生じます。そこで年齢が若過ぎるとその責任を果たせない可能性があるため、結婚可能年齢が法律で定められたのです。

成人年齢の引き下げにより親の同意が不要になった

民法改正前は男性18歳、女性16歳以上であれば、婚姻は可能でした。ただし20歳未満は未成年であるため、未成年の婚姻には親の同意が必要とされていました。今回の法改正と同じタイミングで成人の年齢が18歳へ引き下げられたため、結婚可能年齢と成人年齢がともに18歳となり、両性(結婚するふたり)の合意があれば結婚することが可能となりました。

平均初婚年齢や結婚までの平均交際期間を見てみよう

指でハートを作るカップル
18歳以上になれば両者の合意のみで結婚が可能になりましたが、18歳になってすぐに結婚する男女は多くありません。ここでは厚生労働省の人口動態調査や出生動向基本調査を基に、平均初婚年齢や結婚までの平均交際期間を確認してみましょう。

平均初婚年齢は男性31.0歳、女性29.4歳

厚生労働省の2020年人口動態調査によると、平均初婚年齢は男性31.0歳、女性29.4歳。初婚のピークは26歳ですが、30代や40代で初婚を迎える人が増えているのが分かります。働く女性が増えたことで、経済的に自立する女性が増え、女性の平均初婚年齢が上がってきているようです。

結婚までの平均交際期間は2〜3年未満

2021年「ゼクシィ結婚トレンド調査(全国推計値)」によると、結婚までの交際期間は2~3年未満のカップルが最も多く、平均は3.3年間という結果になりました。長い交際期間を設けると、ゆっくり相手を知りながら信頼関係を築けるメリットがあります。ただし、30代以上のカップルは結婚までのスピードは速い傾向にあります。

若いときに結婚するメリット

若い夫婦と赤ちゃん
平均初婚年齢は30歳前後ですが、なかには10代後半や20代前半という若い年齢で結婚を決意するカップルもいます。実は若い年齢で結婚するメリットはたくさんあります。

体力があるうちに出産育児ができる

若いうちに結婚をすれば、出産も早い傾向になり、体力があるうちに育児ができます。子育ては体力勝負であるため、若い方が有利。また医学的に見ても、20代が妊娠適齢期なのだそうです。年齢を重ねれば、妊娠率や出産率は低下する上、35歳以上の高齢出産はリスクが高いとも言われます。もし2人以上子どもが欲しい場合は、20代前半で1人目を出産したいと考える人も少なくありません。

20代で職場復帰できる

20代前半で結婚出産すれば、20代後半には職場復帰が可能です。20代のうちはキャリアを形成したいからと結婚や出産を後延ばしにする女性は多いですが、そこから子どもを産むとなると30代の働き盛りの頃に産休育休をとることになります。30代で職場を離れることは、20代の頃よりキャリア的ダメージが大きいと考えられます。仕事と育児の両立を考えて転職したい時も、年齢が若い人のほうが求人も多く、採用されやすいと言えるでしょう。

将来の経済的な不安が少ない

若いうちに結婚出産をすれば、子どもに最も教育費がかかる頃に働き盛りである可能性が高いです。子どもが大学院に進学したい、留学したいと希望しても、夫婦とも元気で働いているため、子どもの夢を応援できるでしょう。将来に向けて、夫婦での財産形成を早い時期から始められるのもメリットです。
また若いうちに結婚すれば、子育てと介護の時期が重なる確率は少ないと言えます。親もまだ元気なことが多いので、子育てを手伝ってくれる可能性もあります。

若いときに結婚するデメリット

買い物を楽しむ親子
若い年齢で結婚をすることにはたくさんのメリットがありますが、反面デメリットもあります。

金銭的な余裕がない状態で生活がスタートする

若い時に結婚すると、世帯年収が低く経済的な余裕がない状態での生活になりがちです。結婚には何かとお金がかかりますが、若い年齢同士での結婚は、互いにあまり貯金がないケースも少なくありません。そのため結婚式にお金をかけられず、理想の結婚式ができない場合もあります。ですが、1人の年収では貯蓄が難しくても、パートナーとの年収と合算した「世帯年収」になると貯蓄する余裕が生まれる可能性も高くなります。

同年代の友達と遊ぶ機会が減る

若い年齢で結婚した場合、同世代の友人は独身の人が多いです。しかし自分は結婚したことによって自由に使えるお金や時間が少なくなって、友人と遊べる機会が減るかもしれません。自由に遊んだり、恋愛する友達を見てうらやましく感じたりすることもあるでしょう。ただし、考え方を変えれば、愛するパートナーと家庭をもつ幸せや子供を育てる楽しみを若いうちから感じられる、ということでもあります。あまり悲観的になる必要はありません。

若いときに結婚をするための準備

結婚式のTODOリスト
若いうちに結婚をすると、大切な人と長く人生をともに歩めます。その他にもメリットが多いため、早くに結婚をしたいと思う人も多いかもしれません。しかし結婚は責任を伴うもの。きちんと準備や心構えをすることも大切です。最後に、若い時に結婚したいと考える人が押さえておくべきポイントを紹介します。

結婚に必要な準備

結婚するまでにやるべき準備を紹介します。
  • 親への報告
  • 入籍日の決定
  • 婚約指輪や結婚指輪の購入
  • 結納、両家顔合わせ
  • 新居を探す
  • 職場や友人に結婚を報告
  • 結婚式をする場合はその準備
  • 結婚式の準備には、平均して8ヵ月ほど時間が必要と言われます

結婚に必要な費用

結婚する時は、何かとお金がかかります。例えば結婚を決めたら、結納や顔合わせ、婚約指輪の購入などを行います。この婚約期間に必要な金額は約80万円と言われています。さらに挙式披露宴で約400万円、新婚旅行に約75万円、新居への引っ越し費用で約100万円。挙式披露宴に関しては、費用のうち3分の2程度はご祝儀で賄えると言われていますが、かなりお金がかかるのは事実です。年齢が若いと、ここまで費用を捻出するのは難しいケースもあるでしょう。
結婚するからといって、このすべてを行わなくてはならないわけではありません。自分達が準備できる範囲で予算を決めて行うことが大切です。結婚後もお金が必要な時期はやってくるので、これを機に若いうちから計画的に貯蓄する習慣を身に着けたいですね。

時代の流れに合わせて結婚可能年齢は男女ともに18歳へ

ビーチで見つめ合う男女
民法改正によって、結婚可能年齢は男女ともに18歳になりました。18歳というとまだ高校生という人も少なくありませんが、法律上は成人です。成人には自分の意志で物事を選択する自由がある代わりに、責任も生まれます。若くして結婚することは大変な側面もありますが、それ以上に幸せなことがたくさん待っています。大切な人とふたりで乗り越えれば、より一層ふたりの愛が深まるのではないでしょうか。

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