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コラム

2020.04.28

「大晦日のプロポーズ」勇気ある彼の行動に思わず泣いた

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フェスタリアでは毎年、社員によるエッセイコンクールを開催。各社員が経験した感動体験やお客様との素敵なエピソードを作文にしています。

今回はコンクールで受賞した、宮崎橘通店・山田 修一さんのエッセイ『大晦日のプロポーズ』をご紹介。山田さん自身が思わず目に涙を浮かべた感動体験とは?

『大晦日のプロポーズ』 

いまでも覚えているお客様がいる。

あれはクリスマスも過ぎた、12月29日の夕方。店頭は落ち着いた雰囲気で、もうすぐ新しい年を迎えるのだなと思っていたときだった。
仕事帰りだろうか、作業服を来た男性が店頭のショーケースを眺めている。

「いらっしゃいませ。当店は初めてですか?」
「あっ……。ええ……」


少し照れた様子のその男性は、「指輪を……」と小さな声で呟いた。クリスマスプレゼントかなと一瞬頭をよぎったが、それにしてはもう遅い。お話を伺ってみると、その方のお相手の女性の誕生日が大晦日なのだという。

「付き合って10年ほど経つんですが、こういったプレゼントをしたことがなくて……」
「そうでしたか、それでは誕生日におすすめのリングがございますよ」


ショーケースからひとつのリングを取り出し、手にとって見ていただく。どうやら気に入っていただけている様子。そのリングのご説明をひと通りし終えると、話題はその方が誕生日プレゼントにリングを選んだ理由に。

「実はこの前、ふたりで歩いていたときに、あるお店のショーウィンドウの指輪を見た彼女が、たまにはこういうのを私にも買ってよ、と冗談交じりで言うもんだから、プレゼントしてあげたいなと思って」

そのお話を聞いて、いたずらっぽく彼女がリングをおねだりする様子が脳裏に浮かんだ。そして、私は思った。彼女は、冗談で隠したかった本当の想いがあったのではないだろうかと。

「きっと彼女は指輪が欲しかったのではなく、お客様の気持ちが欲しかったのではないでしょうか?」
「えっ、どういうことですか」
「きっとプロポーズの言葉を待っているんだと思います」

その瞬間、その男性の表情が変わったのがわかった。
そして、私はエンゲージリングの由来やダイヤモンドに込められたメッセージなどについて、お話をした。その男性も私の言葉をキッカケに、大晦日、彼女の誕生日にプロポーズすることを決意していく。

最終的に選んでいただいたリングは、当初の予算の10倍の価格のものに。しかし、彼女へのプロポーズを決意したといえど、数時間前まではプロポーズなんて考えてもなかったのだから、断られたらどうしようという不安もあったに違いない。
予算のこともあり、「一晩、考えさせてください」と、その男性は何も買わずに帰られていった。
フェスタリア店内様子
そして翌日。
いよいよ彼女の誕生日前日でもあるその日、私が出勤していることはお伝えしていたものの、1日中待っていても、その男性はお店に現れなかった。

「誕生日プレゼントをお求めになられていたのに、エンゲージリングをご提案したのが悪かったのだろうか」「プロポーズするという決意になにか変化があったのだろうか」と、様々な思いが頭を駆け巡り、それと同時に余計なことを言ってしまい申し訳ないことをしたなと反省をした。

* * *

いよいよ大晦日当日。私は仕事が休みであったため、一年の最後の日を家族と出かけて過ごしていた。めったにお店から電話が入ることはないのだが、その日は携帯電話にお店からの着信が入る。

「もしもし」
「いま来店してくださっているお客様が、どうしても山田さんとお話したいそうなので、代わりますね!」


嬉しそうに話すスタッフ。そして代わって電話に出たのは、あの男性だった。

「あれからすごく迷ったんですけど、指輪を買いにいまお店に来たんですよ。そしたら山田さんがお休みだと聞いて。もう、なんでいてくれないんですかー!」

笑いながらそう話す彼の声を聞いて、ほっとした気持ちになった。その男性は昨日が仕事納めで忙しく、来店する時間がとれなかったという。そして今日、エンゲージリングを彼女に渡すそうで、電話越しに励ましの言葉を贈った。

きっと彼なら大丈夫。心の中で私はそう思った。

* * *

そして年が明け、お店が入っている館内は初売りで多くのお客様で賑わっていた。いつも以上に人で溢れる中、向こうから一組の男女が歩いてくるのが目に留まる。思わず、自らふたりに駆け寄っていった。

「やっぱり、リングを受け取ってくれたんですね! おめでとうございます!」

幸せそうな笑顔を浮かべるふたりを見て、私もとても嬉しくなった。そして不安がありながらもプロポーズを決意したことは素敵だし、カッコいいと思うといったことを伝える私に、彼女は思いがけないことを言った。

「実は今日、山田さんに一言お礼を伝えたくて来たんです」
「えっ、私にですか?」

そう驚く私に、彼女は、ずっと彼からのプロポーズの言葉を待っていたこと、受け取ったリングをとても気にいっていること、そして私が彼に伝えたエンゲージリングやダイヤモンドのエピソードを聞いてとても感動したことを話してくれた。

わざわざそのことを伝えに来てくれた優しい彼女、そして勇気を振り絞って大晦日にプロポーズをした彼。気づけば、私の目には涙が溢れていた。

時は流れ、私は別の店舗へと異動となり、いまとなってはふたりが、どこでどうしているかも分からない。だけれども、きっとあのふたりなら素晴らしい家庭を築いて、幸せに暮らしているに違いない。

festaria bijou SOPHIA 宮崎橘通店 山田 修一
婚約指輪

石言葉は「永遠の絆」。婚約指輪にダイヤモンドをあしらう理由とは

エンゲージリングの由来は、古代エジプトにあると言われています。円で描かれた象形文字は “永遠に途切れぬもの” として、「結婚」を意味したそう。そして古代ローマの時代になると、婚約の儀式に鉄の輪を用いて、永遠に途切れない真実の愛を誓ったことがエンゲージリングのはじまりと言われています。

また、昨今はダイヤモンドをあしらったエンゲージリングが一般的ですが、ダイヤモンドを用いるようになったのは15世紀ごろから。1477年、ローマ帝国皇帝になるマキシミリアン大使が、ブルゴーニュの公女マリーに結婚を申し込んだ際に贈ったエンゲージリングに、はじめてダイヤモンドが用いられたと言われています。

石言葉に「純愛」「永遠の絆」という意味を持つダイヤモンド。そして地球一硬い物質であるダイヤモンドは、ふたりの固い絆、変わらぬ愛を表し、透明なダイヤモンドのように純粋に愛する気持ちを持ち続けたいという想いが含まれています。
つまり愛する女性に贈るエンゲージリングの宝石として、ダイヤモンドはふさわしいものと言えるでしょう。

そして、フェスタリアの独自カットによって生まれた “Wish upon a star” というダイヤモンドには、ふたつの星が浮かび上がり、愛し合うふたりを意味しています。
星に想いを込め、その大切な想いをダイヤモンドに託す―― フェスタリアでは、これからも愛し合うふたりの新しい門出をお祝いいたします。

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